能「定家」
連休みなさんはどんな風にお過ごしですか。
私は22日に東京国立能楽堂へお能を見に行ってきました。「喜正の会」といって、観世喜正氏が自らの研鑽の場として年に数回催されています。毎回魅力的な番組ですが、今回は「定家」
いかにも能らしい能。
題名に「定家」とありますが、主人公は式子内親王、定家と契り深い高貴な女性。しかし、早くに亡くなってしまわれます。しかし定家は忘れられず、死後も葛となって式子内親王の墓所にまとわり付きます。その執心の為に内親王は死後も苦しみ続けることになります。その執心から逃れるため、旅の僧の前に現れ、弔ってもらうように頼みます。一時は読経のため浮ばれかけますが、再び葛にまとわり付かれてしまいます。この葛は後に定家葛と呼ばれます。
この舞台になったところが我が家の近く、千本今出川。間狂言の語りにもその事が出てきます。現在は般舟院というお寺があり、その近くに皇室の墓所もあります。そして、内親王のお墓はその墓所の中に今もあるそうです。
式子内親王にどんな罪があって浮ばれないのか、ただ単に定家の思いが強かっただけではないのか。それなのに・・・今も定家葛にまとわり付かれたままなのでしょうか・・・それとも・・・
「喜正の会」は三役(脇、囃子方、狂言)がすばらしい方ばかり、そんな中で舞われる喜正氏はどれだけ緊張され、勉強されているのか。今回も、すばらしい舞台でしたが、特に私が感じたのはシテの謡でした。式子内親王の思いが十分に伝わってくるすばらしい謡でした。