日曜日(お茶会と道成寺)・・・道成寺編
まずはじめに井上裕久氏のご挨拶と曲の解説があり、また小鼓の林吉兵衛氏からもいろいろお話がありました。特に今回は林吉兵衛氏のご長男の被キで、自ら鼓を打ちながら乱拍子のところの解説をしてくださいました。
その後仕舞、狂言と続きいよいよ本番。先程解説では笑いをとったりしながらお話してくださった裕久氏がどんなふうに舞われるのたのしみです。
私は席は今回はワキ正面、しかも橋掛かりに近い席でしたが、この場所は今回は正解でした。
囃子方、地謡、鐘後見などが出揃い、(囃子方は小鼓の方が被キの関係か段熨斗目の色とりどりの着物でした)狂言方が鐘を釣ります。なかなかうまく釣れない事もありますが、今回は一発で成功。徐々に緊張感が高まってきます。
ワキの名宣からいよいよシテの出を待っていると、突然フッと橋掛かりからシテが現れました。これは道成寺独特の演出で、シテの不気味さがより一層強調されます。さていよいよ烏帽子をつけて乱拍子の始まり。小鼓との気の掛け合い、いやが上にも緊張感がまして来ます。初めの解説で林氏から乱拍子について解説が真に迫ってきます。秘めたる鐘への執心がひしひしと感じられました。
無事鐘入りが終わり、少し緊張感がとけますがが、ドラの音とともに、揺れ動く鐘が後半の期待をかきたてます。赤頭に緋の袴、それに異様な面、一瞬ドキッとさせられました。舞台での立ち回りのあと橋掛かりへ。間近に見る面は、とてもこの世のものとは思えない迫力があり、鐘への執心そのものが形となって現れたようでした。最後の揚幕への入り方も、普段は鏡の間へ飛んで入るのでうが、揚幕の直前でふっとしゃがみこみ、突然フッと居なくなったように見え、その後揚幕が上がって鏡の間へ入るという演出。こんな道成寺は初めて見ました。
ちなみに、あとで先生にお尋ねしたら、後の面は「狐蛇」といい、本面は観世ご宗家にある面の写し面で、殺生石や小鍛治の替えに使用するそうです。今回は衣装の組み合わせから この面を選ばれたそうです。道成寺の小書にも使える面ですが 実際に使われる事は非常に稀だそうです。
すべての出演者が素晴らしかったから、これだけの舞台ができたのでしょうが、それにしても井上裕久氏舞台は素晴らしかっです。
伊能裕久氏の次回の公演は11月27日に研和会で安宅のシテを努められます。京都では「謡の井上」と言われる若き当主の勧進帳をぜひ聞いておきますね。
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