八掛には、大きくわけで「無地」と「ぼかし」の二種類があります。
我が家では殆ど「無地」の八掛を使います。
お客様がお買い上げになったお着物(袷の場合)に合わせて色を選びます。色本で色を探し、端布を探し、廊下で見て、部屋で見て。
八掛の生地も「精華」と「パレス」の二種類が一般的ですが、我が家では新潟の五泉で織られる「精華」を使います。
なぜ「精華」を使うか・・・いろいろ理由はありますが、伸び縮みが少なく、表の生地との相性がパレスよりいいように感じます。ただ、パレスの方がつるっとしています。
また、なぜ無地なのか・・これも色々理由があります。
(1)いい無地染屋さんがある
(2)微妙な色が染められる。(誂え)
(3)「ぼかし」は既製品の中で選ぶ事になるので、どうしても妥協せざるを得ない場合が多い。
(4)洗い張りや染め替えするときに便利
まず(1)ですが、お祖父さんの代からお願いしている色染屋さんがあり、とてもいい色に染めてくださいます。この染屋さんが無ければ八掛を別染めする意味が無いぐらいですで、これが無地の八掛を作る第一の理由です。
「ぼかし」は引き染で染めます。引き染は蒸し水洗をしないと色が出ません。いい職人さんはもちろん、蒸し水洗をしたらどうなるか考えて、染料の調合をしますが、それでも見本の色と微妙に違ってきます。(いいほうに違うといいのですが・・)
着物は長年着ていますと、八掛が擦り切れてきます。そんな時、「無地」だと天地を逆にしたり、擦り切れたところを切り落として使う事が出来ますが、「ぼかし」の場合は天地を逆にはできませんし、切り落とすと見えるところの色が薄くなったりしてしまいます。
そんなこんなで、我が家では無地の八掛を基本としています。着物が薄い地色の時にだけ、表に色が移るので「ぼかし」を使います。

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ふとこんな事を書く気になったのは、最近読んだ村林益子氏の本に同じような事が書いてあって、やっぱりそんなんだと思ったから・・・。