昨日は謡講でした。
私は二部に行きました。
二部の演目は独吟「吉野天人」と「朝長」
朝長は修羅物では珍しい曲で、演出上のさまざまな議論があるみたいですが、今回はとりあえずそれは置いといて、謡としてもなかなか難しい曲ですが、趣のある謡です。
前半に主人公(前シテ)は朝長が自害したときにお世話になった青墓の長者の妻で、後シテは朝長の亡霊と、前半と後半で性別も立場も違う二人を演じ分けなければなりません。また朝長は若くして亡くなっているので、若武者の雰囲気も残しつつ、修羅道の凄惨さも表現するという高度な謡方が必要です。
謡講では2度目だそうでうですが、私は初めてでした。会場の小島家の座敷に響く謡は、地面から沸き上がってきたり、天井から降り注いだりと、縦横無尽に駆け回る武将が目の前に居るように感じました。
ずいぶん日がながくなりましたが、それでも終わるととっぷりと日が暮れ、謡講の雰囲気がより一層感じられました。
普段の暮らしからちょっと離れ、夢幻の世界に遊んでみるのもなかなか面白いものです。
精神を開放するというのか、どんな演目であれ終わるといつも清々しい気分になります。
次回は6月20日(日曜日)
場所は弘道館(京都市上京区上長者町通新町東入ル ブライトンホテルを東へ)
演目は平城建都千三百年を記念して一部が采女、二部が百万です。
謡講も今年九年目、来年は十周年だそうです。静かにでも着実にファンが増えていきますように。